東証33業種とは、証券コード協議会が定める「業種別分類項目」の33の中分類のことです。日本取引所グループ(JPX)の用語集によると、業種別分類項目は10の大分類の下に33の中分類があり、通常「業種」というときはこの中分類を指します。東京証券取引所はこの分類を採用して業種別株価指数を公表しているため、「東証33業種」と呼ばれています。相場のニュースで「電気機器が上昇」「銀行業が下落」と言われるときの業種は、この33業種のことです。

この記事では、33業種の一覧と、業種別株価指数の見方、よく似た言葉である「TOPIX-17」「セクター」との違いを、JPXと日経平均プロフィルの公式情報をもとに整理します。

東証33業種は誰がどう決めているのか#

業種を決めているのは、東京証券取引所ではなく証券コード協議会です。JPXの用語集によると、同協議会が「業種別分類に関する取扱い要領」という規則を定め、それに基づいて個別の株式公開会社の業種を決定しています。分類の基準は総務省が定める「日本標準産業分類」に準拠しており、各社の事業内容からどの分類に該当するかを判定したうえで、協議会の「業種別分類項目」のどこに入るかを定めています。

証券コード協議会のページによると、公開企業に割り当てられる業種は、どの証券取引所のどの市場でも統一的な基準で判定されています。新規上場の審査の過程で業種判定が行われ、上場後も有価証券報告書に基づいて定期的に業種変更審査が行われます。事業内容が変わって業種の変更基準に該当した会社については、協議会が公表・実施します。

つまり、33業種は「東証が勝手に分けたグループ」ではなく、全上場企業に共通のルールで割り当てられた公式の分類です。

東証33業種の一覧#

JPXが公表している東証業種別株価指数(33業種)の一覧は次のとおりです。並び順はJPXの「リアルタイム株価指数値一覧」ページの掲載順に合わせています。

No.業種No.業種
1水産・農林業18精密機器
2鉱業19その他製品
3建設業20電気・ガス業
4食料品21陸運業
5繊維製品22海運業
6パルプ・紙23空運業
7化学24倉庫・運輸関連業
8医薬品25情報・通信業
9石油・石炭製品26卸売業
10ゴム製品27小売業
11ガラス・土石製品28銀行業
12鉄鋼29証券、商品先物取引業
13非鉄金属30保険業
14金属製品31その他金融業
15機械32不動産業
16電気機器33サービス業
17輸送用機器

「製造業」のような大分類ではなく、食料品・化学・電気機器などの中分類が並んでいることが分かります。ニュースで「輸送用機器」と言われたら自動車などの業種、「情報・通信業」と言われたら通信・ITなどの業種、という読み替えができるようになると、相場の記事がぐっと読みやすくなります。

業種別株価指数の見方#

JPXの株価指数ラインナップによると、東証業種別株価指数はTOPIX構成銘柄をこの33業種に分けて算出した株価指数です。つまり、TOPIXを33個に切り分けたものと考えると分かりやすいでしょう。

指数値はJPXの「リアルタイム株価指数値一覧」ページで、33業種それぞれについて現在値・前日比・前日比(%)・始値・高値・安値が確認できます。過去5営業日分の値も同じページから見ることができます。

業種別指数を見るときのポイントは、指数値の大きさではなく前日比(%)で比べることです。業種ごとに指数値の水準はまったく違うので、「指数値が大きい業種が強い」というわけではありません。前日比の騰落率を33業種で並べて、「今日はどの業種が上位で、どの業種が下位だったか」を見るのが基本的な使い方です。

また、1つの業種が大きく動いたときは、その業種に属する特定の企業が動いたのか、業種全体が同じ方向に動いたのか、という見方もできます。業種別指数はTOPIX構成銘柄を業種ごとに分けた指数なので、どの企業がどの業種に属しているかを知っておくと読み取りやすくなります。

17業種区分(TOPIX-17シリーズ)との違い#

33業種よりも大きなくくりとして、JPX総研はTOPIX-17シリーズという17業種の指数も算出しています。JPXの株価指数ラインナップでは「東証業種別株価指数・TOPIX-17シリーズ」として同じグループに掲載されており、TOPIX-17は33業種を17業種に集約したものです。17業種の一覧は次のとおりです。

No.TOPIX-17の業種No.TOPIX-17の業種
1食品10情報通信・サービスその他
2エネルギー資源11電力・ガス
3建設・資材12運輸・物流
4素材・化学13商社・卸売
5医薬品14小売
6自動車・輸送機15銀行
7鉄鋼・非鉄16金融(除く銀行)
8機械17不動産
9電機・精密

たとえば33業種の「鉄鋼」と「非鉄金属」はTOPIX-17では「鉄鋼・非鉄」に、「電気機器」と「精密機器」は「電機・精密」にまとめられています。JPXの株価指数ラインナップでは、このシリーズに関連するETFも案内されています。ニュースや商品説明でどちらの区分の話をしているのかを意識して読むとよいでしょう。

このブログの「大引けふりかえり」では、原則として報道でよく使われる33業種で騰落を書いています。

「セクター」と「業種」は同じではない#

相場の記事では「業種」と似た言葉として「セクター」もよく出てきます。日経平均プロフィルの用語解説によると、株式投資の世界でのセクターは「特定の事象に反応して同じような値動きをする銘柄のグループ」を意味します。

たとえば、海外売上が多い企業は為替の動きに敏感なので「輸出関連セクター」、証券会社はマーケットにあわせて動くので「金融セクター」というようにくくられます。同じ解説では、原油安というテーマでは電力・ガスと空運・陸運が同じセクターとして扱われるなど、業種の垣根を越えたテーマでくくられることが多いと説明されています。「○○関連株」という言い方もほぼ同じ概念です。

また、日経平均株価の構成銘柄の定期見直しでは、日経の36業種分類を「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」の6つのセクターに集約して、銘柄数のバランスを取っています。これは東証33業種とは別の分類です。

整理すると、次のようになります。

  • 「東証33業種」:証券コード協議会が全上場企業に割り当てる公式の分類。1社は必ず1つの業種に属する
  • 「TOPIX-17」:33業種を17に集約した指数のシリーズ
  • 「セクター」:値動きの傾向やテーマでくくったグループ。業種をまたぐことがあり、決まった定義はない

「業種」は制度上の分類、「セクター」は相場の見方に近い言葉、と覚えておくと混乱しにくくなります。

「大引けふりかえり」で業種の騰落を書く理由#

このブログの「大引けふりかえり」では、日経平均とTOPIXの終値に加えて、上昇した業種・下落した業種を記録しています。その理由は、指数の数字だけでは「その日、市場で何が起きたのか」が分からないからです。

日経平均が上がった日でも、電気機器や精密機器など値がさ株の多い業種だけが上がって、銀行業や不動産業は下がっている、ということは珍しくありません。逆に、日経平均は小幅な動きでも、33業種の大半が上昇している日もあります。業種の騰落を一緒に書いておくと、後から読み返したときに「あの日は幅広く買われた日だったのか、一部の業種に偏った日だったのか」が再現できます。

また、業種の動きは、その日の材料(為替、金利、原油価格、海外市場など)と結びつけて読みやすいという利点もあります。たとえば金利に関係する材料があった日は銀行業や不動産業、原油に関係する材料があった日は鉱業や石油・石炭製品、空運業などの動きを見ておくと、材料と相場のつながりを記録しやすくなります。日銀会合の日は金融政策決定会合の記事もあわせて参考にしてください。

ただし、「この業種が上がったから明日も上がる」といった予想はこのブログでは書きません。業種別指数はあくまで「その日の記録」として使い、売買の判断材料とするものではない、という前提で読んでいただければと思います。