日経平均株価とTOPIX(東証株価指数)のいちばん大きな違いは、「何を平均しているか」です。日経平均株価は日本経済新聞社が算出する指数で、東証プライム市場に上場する225銘柄の株価をもとに計算する「株価平均型」です。一方のTOPIXは株式会社JPX総研が算出する指数で、構成銘柄の時価総額(浮動株ベース)をもとに計算する「時価総額加重型」です。この違いのため、同じ日でも2つの指数の動き方が食い違うことがあり、その差を見る目安として「NT倍率」という言葉も使われます。

この記事では、「大引けふりかえり」で毎日のように出てくるこの2つの指数について、公式サイトで確認できる範囲で違いを整理します。

算出しているのは誰か、何銘柄か#

まず基本情報を表にまとめます。

項目日経平均株価TOPIX(東証株価指数)
算出・公表株式会社日本経済新聞社株式会社JPX総研(日本取引所グループ)
対象東証プライム市場に上場する銘柄から選定した225銘柄東証上場銘柄(第2段階の見直しで全市場区分が母集団)
算出方法株価平均型(ダウ式)浮動株時価総額加重型
公表開始1950年9月7日(1949年5月16日まで遡及算出)1969年7月1日(基準日1968年1月4日=100ポイント)
計算頻度リアルタイム(5秒間隔)リアルタイム(JPXサイトで指数値を公表)

日経平均株価は、日経平均プロフィルによると「東京証券取引所プライム市場に上場する225銘柄を選定し、その株価を使って算出する株価平均型の指数」です。銘柄数は225で固定されており、経営再編などで欠員が出た場合は臨時入れ替えで補充して225銘柄を維持します。

TOPIXは、JPXの公式ページによると「日本の株式市場を広範に網羅するとともに、投資対象としての機能性を有するマーケット・ベンチマーク」で、1968年1月4日の時価総額を100として指数化したものです。日経平均が「選ばれた225社」であるのに対し、TOPIXは市場全体を広くカバーする設計になっています。

なお、日経平均株価は日本経済新聞社が一切の知的財産権を保有する指数であり、TOPIXもJPX総研またはそのグループ会社の知的財産です。本記事は指標としての言及にとどめており、各指数の商用利用には各社のライセンスが必要です。

「株価平均型」と「時価総額加重型」は何が違うのか#

日経平均株価:株価を足して除数で割る#

日経平均株価の計算は、基本的には「構成銘柄の株価を合計して、除数で割る」という単純平均の考え方に基づいています。ただし2つの調整が入ります。

1つ目は株価換算係数です。日経平均プロフィルの用語解説によると、各銘柄の株価に株価換算係数を掛けたものを「採用株価」とし、その合計を除数で割って指数を算出します。新規採用時には原則「1」ですが、株価水準が著しく高い銘柄については、組み入れ時のウエート(構成比率)が1%以内になるように0.1〜0.9の値を設定します。2021年10月から使われている仕組みで、それ以前は「みなし額面」による換算が行われていました。

2つ目は除数です。銘柄の入れ替えや株式分割があると株価の合計が変わってしまうため、そのたびに分母である除数を修正して、指数の連続性を保ちます。日経平均プロフィルの解説では、3銘柄の例を使って「銘柄を入れ替えただけで指数が動かないように除数を調整する」仕組みが説明されています。この算出方法は米国のダウ工業株30種平均と同様で、「ダウ式」と呼ばれることもあります。

TOPIX:時価総額の大きさで重みづけする#

TOPIXの算出方法は「浮動株時価総額加重型」です。時価総額とは「株価×発行済株式数」で、そのうち実際に市場で売買される可能性の高い株式(浮動株)の分だけを使って重みづけします。時価総額が大きい企業ほど指数に占める割合が大きくなるため、日本の株式市場全体の値動きを時価総額ベースで表す指数になっています。JPXは浮動株比率の算定方法を公開しており、浮動株比率は定期的に見直されます。

「値がさ株」の影響が出るのは日経平均#

2つの計算方法の違いは、「どの銘柄の値動きが指数に効きやすいか」という形で表れます。

日経平均株価は株価平均型なので、構成銘柄の株価が1円動いたときの指数への影響は(株価換算係数が同じなら)どの銘柄でも同じです。すると、株価が高い銘柄(値がさ株)は、同じ「1%の値動き」でも円単位の変動が大きくなるため、指数を動かす力が大きくなります。日経平均プロフィルの解説記事でも、1日の値動きを「セクター別騰落寄与度」や「銘柄別の寄与度」で分解すると、特定の銘柄が指数を大きく押し上げたり押し下げたりしている様子が紹介されています。株価換算係数は組み入れ時のウエートを抑える仕組みですが、採用後に株価が上昇して比率が高まることはあります。

一方、TOPIXは時価総額加重型なので、株価の高さそのものではなく、時価総額の大きい企業の値動きが指数に効きやすくなります。

このため、「日経平均は大きく上がったのにTOPIXは小幅だった」というように、同じ日でも2つの指数の騰落率が食い違うことがあります。ふりかえりを書くときに両方の指数を記録しているのは、この食い違いが「その日、どんな銘柄が買われた(売られた)のか」を考えるヒントになるからです。業種ごとの動きについては東証33業種と業種別株価指数の記事で解説しています。

構成銘柄はいつ入れ替わるのか#

日経平均株価:年2回の定期入れ替え#

日経平均プロフィルによると、日経平均株価の構成銘柄の入れ替えは年2回(4月初、10月初)です。入れ替えのルールは「市場流動性とセクター(日経業種分類の36業種を6つに集約したもの)間のバランス」により選定するとされています。6つのセクターとは「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」で、特定の業種に偏らないように銘柄が選ばれます。

このほか、経営再編や経営破綻などで欠員が出る場合には「臨時入れ替え」で銘柄を補充し、225銘柄を維持します。

TOPIX:見直しの途中で、定期入れ替えが導入される#

TOPIXは2022年4月の東証の市場区分再編をきっかけに段階的な見直しが進められています。JPXの「TOPIXの見直し」ページによると、第1段階の見直しは2025年1月末に完了し、続く第2段階の見直しでは、全市場区分(プライム・スタンダード・グロース)を母集団として、流動性基準による銘柄の定期入れ替えが行われるようになります。初回の定期入れ替えは2026年10月、2回目は2028年10月に実施される予定で、継続採用されない銘柄は四半期ごとに8段階でウエイトが低減されます。

つまり、日経平均の「年2回、225銘柄を維持する入れ替え」と、TOPIXの「市場全体を母集団に、流動性で定期入れ替え」は、仕組みも時期も異なります。入れ替えの発表があった日は、関係する銘柄の売買が増えることがあり、ふりかえりでも触れることがあります。

NT倍率とは#

NT倍率とは、日経平均株価をTOPIXで割って計算した指標です。「N(日経平均)÷T(TOPIX)」なのでNT倍率と呼ばれます。計算式は次のとおりです。

NT倍率 = 日経平均株価 ÷ TOPIX

2つの指数は算出方法が違うため、同じ方向に動いても上がり方・下がり方が異なります。NT倍率が上昇したときは「日経平均のほうがTOPIXより相対的に強かった」、低下したときは「TOPIXのほうが相対的に強かった」ということを表します。日経平均は値がさ株の影響を受けやすい指数なので、NT倍率の動きは「値がさ株が主導した相場だったのか、幅広い銘柄が動いた相場だったのか」を考える材料のひとつになります。

ただし、NT倍率の水準そのものに「正しい値」があるわけではなく、この記事でも今後の方向を予想することはしません。あくまで「2つの指数の差を一つの数字にしたもの」として読んでください。

ふりかえりで両方の指数を記録する理由#

最後に、この記事のポイントを整理します。

  • 日経平均株価は日本経済新聞社が算出する225銘柄の株価平均型指数、TOPIXはJPX総研が算出する浮動株時価総額加重型指数
  • 日経平均は値がさ株の値動きに影響されやすく、TOPIXは時価総額の大きい銘柄に影響されやすい
  • 日経平均の構成銘柄は年2回(4月初・10月初)の定期入れ替え、TOPIXは見直しにより2026年10月から定期入れ替えが始まる
  • NT倍率は日経平均÷TOPIXで、2つの指数の相対的な強弱を示す

「大引けふりかえり」で日経平均とTOPIXの両方を書いているのは、片方だけでは「市場全体が動いたのか、一部の銘柄が動いたのか」が分からないためです。寄付きから大引けまでの流れについては東証の取引時間と寄付き・大引けの記事、1日の値幅の読み方はローソク足の見方の記事もあわせてご覧ください。