値幅制限とは、1日の売買で株価が動ける幅を、前日の終値などを基準にあらかじめ制限する東京証券取引所のルールです。制限の上限まで株価が上がった状態を「ストップ高」、下限まで下がった状態を「ストップ安」と呼びます。制限の幅(制限値幅)は株価の水準ごとに表で決まっており、たとえば基準値段が1,000円以上1,500円未満なら上下300円です。

この記事では、値幅制限の基本、JPX公式の制限値幅表の主なレンジ、ストップ高・ストップ安のときに注文がどう処理されるか(ストップ配分)、そして連続でストップ高・安になったときに値幅が広がるルールを、日本取引所グループ(JPX)の公式サイトで確認できる範囲で解説します。

値幅制限とは何か・なぜあるのか#

JPXの公式サイトでは、値幅制限を「一日の売買における値動きの幅を価格水準に応じて一定に制限」する仕組みと説明しています。この幅を「制限値幅」といい、前日の終値または最終気配値段など(これを「基準値段」と呼びます)を基準にして決まります。

値幅制限がある理由は、株価の急激な変動から投資家を守るためです。もし制限がなければ、大きなニュースが出たときに1日で株価が何倍にもなったり、逆に大きく下げたりして、成行注文を出した人が思いもよらない値段で約定してしまう可能性があります。一定の幅で止めることで、投資家が冷静に判断する時間を確保しているわけです。

なお、東証にはこれとは別に「特別気配」「連続約定気配」という、ザラバ中の瞬間的な急変動を抑える仕組みもあります。値幅制限が「1日の上限・下限」を決めるルールであるのに対し、特別気配は「直前の約定値段からの一度の動き」を抑えるルールという違いがあります。

制限値幅の表(基準値段ごとの主なレンジ)#

制限値幅は基準値段の水準ごとに細かく決まっています。JPX公式サイトの「制限値幅」ページに掲載されている表のうち、個人投資家がよく目にする水準を抜粋すると次のとおりです。制限値幅は「上下」に適用されるので、基準値段1,000円の銘柄なら、その日は700円から1,300円の範囲でしか値がつきません。

基準値段制限値幅(上下)
100円未満30円
100円以上 200円未満50円
200円以上 500円未満80円
500円以上 700円未満100円
700円以上 1,000円未満150円
1,000円以上 1,500円未満300円
1,500円以上 2,000円未満400円
2,000円以上 3,000円未満500円
3,000円以上 5,000円未満700円
5,000円以上 7,000円未満1,000円
7,000円以上 10,000円未満1,500円
10,000円以上 15,000円未満3,000円
15,000円以上 20,000円未満4,000円
20,000円以上 30,000円未満5,000円
30,000円以上 50,000円未満7,000円

表はこの先も続いており、基準値段が高くなるほど制限値幅も大きくなります(最も高い水準では5,000万円以上で1,000万円)。全レンジはJPXの公式ページで確認できます。

表を見ると分かるように、制限値幅は基準値段に対して「おおむね1〜3割程度」になるように段階的に設定されています。たとえば基準値段が500円なら上下100円(20%)、1,000円なら上下300円(30%)、3,000円なら上下700円(約23%)です。レンジの境目で割合が変わるため、同じ「ストップ高」でも値上がり率は銘柄の株価水準によって異なります。

ストップ高・ストップ安のときに何が起きるか#

株価が制限値幅の上限に達した状態をストップ高、下限に達した状態をストップ安と呼びます。ストップ高になると、その日はそれより高い値段では売買が成立しません。買い注文がどれだけ集まっても値段は動かず、「ストップ高で買い注文が大量に残っている」という状態になります。

ふりかえりの記録では、「ストップ高で引けた(終値がストップ高)」のか、「一時ストップ高をつけたが引けまでに戻した」のかを区別しておくと、後から見返したときに状況がはっきりします。ローソク足の形で見分ける方法はローソク足チャートの見方の記事で解説しています。

ストップ配分(比例配分)の仕組み#

ストップ高で大引けを迎えるとき、通常の板寄せの方法では終値を決められないことがあります。終値を成立させるには成行注文がすべて約定する必要がありますが、ストップ高の場面では買いの成行注文が大量に積み上がり、売り注文がわずかしかないからです。

そこで東証では、終値が制限値段(ストップ高・ストップ安)で成立するような場合、通常の板寄せとは異なる「ストップ配分」という方法で売買を成立させます。JPX公式サイトの説明を整理すると、ルールは次のとおりです。

  • 成行注文は、制限値段での指値注文とみなす
  • ストップ高なら制限値段に1単位以上の売り注文、ストップ安なら1単位以上の買い注文があれば売買が成立する
  • 配分は投資家個人にではなく、証券会社(取引参加者)単位で行われる
  • 制限値段に注文を出している証券会社ごとに注文数量を合算し、注文数量の多い証券会社から1単位ずつ順番に配分する

JPXの用語集には次の例が載っています。1単位100株の銘柄で、2,000株をストップ配分する場合、A社から5万株、B社から7万株、C社から6万株の買い注文が出ていたとします。注文数量の多い順にB社、C社、A社となるので、この順に100株ずつ配っていき、結果はB社700株、C社700株、A社600株になります。

ここで大切なのは、東証が配分するのは証券会社までで、その先の「どの顧客に割り当てるか」は各証券会社の社内ルールで決まるという点です。注文数量の多い顧客を優先する会社、抽選で決める会社、注文時刻の早い順にする会社など、方針は証券会社によって異なります。1売買単位でも配分できればストップ配分は成立するため、配分がまったく回ってこない証券会社が出ることもあります。つまり、ストップ高の銘柄に買い注文を出しても、約定するかどうかは「東証のルール」と「利用している証券会社のルール」の両方で決まります。証券会社ごとの違いはネット証券の選び方の記事で取り上げています。

連続ストップ高・ストップ安のときの値幅拡大ルール#

値幅制限があると、大きな材料が出た銘柄は何日もストップ高(安)が続き、売買がほとんど成立しないまま日数だけが過ぎてしまうことがあります。これを避けるため、東証は一定の条件を満たした場合に、臨時に制限値幅を拡大する運用を行っています。

JPX公式サイトによると、内国株については、2営業日連続で次のいずれかに該当した場合、その翌営業日から制限値幅を拡大します。

  1. ストップ高(安)となり、かつストップ配分も行われず、売買高が0株
  2. 売買高が0株のまま午後立会終了を迎え、午後立会終了時に限りストップ高(安)で売買が成立し、かつストップ高(安)に買(売)呼値の残数がある

要するに「2日続けて、ストップ高(安)に張り付いたまま実質的に売買が成立しなかった」銘柄が対象です。1日ストップ高になっただけでは拡大されませんし、ストップ高でもザラバ中にある程度売買が成立していれば対象になりません。

拡大の措置がとられる場合は、JPXがマーケットニュースで随時お知らせしています。公式ページには「本日(1)または(2)のいずれかに該当した銘柄」の一覧ファイルも掲載されており、ストップ情報の種別(1:ストップ高、2:ストップ安、3:ストップ高気配、4:ストップ安気配)とともに確認できます。

また、ETF・ETN・レバレッジ商品については内国株とは別のルールで、ストップ高(安)の値段で立会を終了した場合に翌営業日から制限値幅を拡大することになっています。重複上場外国銘柄は拡大運用の対象外で、ファイルには掲載されても原則として値幅の拡大は行われません。

拡大後の制限値幅がいくらになるかは、JPXのマーケットニュースで銘柄ごとに案内されます。この記事では公式ページで確認できた拡大の「条件」のみを記載しています。

ふりかえり帳に記録するときのポイント#

最後に、ストップ高・ストップ安が起きた日に記録しておくと役立つ項目をまとめます。

  • 基準値段と、その日の制限値幅(表のどのレンジだったか)
  • ストップ高(安)になった時刻(寄付きからか、ザラバ中か)
  • 引けの状態(ストップ配分になったか、通常の約定で引けたか、売買高は0だったか)
  • 連続日数(2営業日連続なら翌日から値幅拡大の可能性)
  • 翌営業日の基準値段と寄付きの反応

寄付き・大引けの時刻や板寄せの流れは東証の取引時間と寄付き・大引けの記事で解説しています。制限値幅の表や拡大ルールは変更されることがあるので、気になったときはJPXの公式ページで最新の内容を確認してください。